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これまでの実務研究会の報告
月日 研究課題
 2017年
9月14日(木) 「追徴税額0円か5億円超か!?…所得区分を巡る攻防」
「使用人給与の損金不算入の額を問われた税務調査体験記」
「その他もろもろ相談」
8月17日(木) 「第53回下関全国研究集会大阪会プレ発表
『ふるさと納税の考察』」
6月13日(火) 「元国税調査官が語る
〜50年続く会社を築く究極の節税とは〜」
5月18日(木) 『税務署のはったり・脅し』VS『死人に口なし』のその後
相続した同族株式を発行法人に譲渡した場合の課税関係
「その他もろもろ相談」
4月13日(木) 法人税の収益事業の判定について
〜NPO法人が行う障害者福祉サービスは課税か

「増資時の税務問題と株式会社更生登記申請」
「その他もろもろ相談」
1月17日(火) 「国税徴収法と猶予の実務」
 2016年
12月8日(木) 「養子縁組に関する相続税の問題、その他」
「断れない顧客のためのマイナンバーの対応」
「その他もろもろ相談」
11月16日(水) 「法人の税務調査事例」
損失補填のための無償減資の実務
「その他もろもろ相談」
10月19日(水) 「労働保険・社会保険の改正について」
債務超過法人への貸付金は相続財産となるか
「消費税、資産譲渡が行われた場所、国内取引か国外取引か?」
9月20日(火) 「労働保険・社会保険の改正について」
「増資時の税務問題と株式会社更生登記申請」
「その他もろもろ相談」
8月10日(水) 「第52回神奈川全国研究集会大阪会プレ発表
『相続税の調査事例〜死人に口なし〜』」
6月15日(水) 「元国税調査官が語る はじめての税務調査シリーズ2
これで安心〜税務調査のトリセツ」
5月12日(木) 「法人とオーナー経営者間でのDESについて-具体的事例から」
「タックスヘイブン課税について」
その他もろもろ相談
1月14日(木) 「債務超過会社への貸付金に対する未収利息の計上について」
「法人調査事例」
「その他もろもろ相談」
 2015年
12月10日(木) 資産税調査の実態報告
「その他もろもろ相談」
11月12日(木) 相続税申告について
法人税の更正の申出手続について
「その他もろもろ相談」
10月22日(木) 「資本対策(事業承継と自己株式化)」
「相続税−保険契約の評価ほか」
「その他もろもろ相談」
8月11日(火) 「マイナンバー制度に関する勉強会」
6月11日(木) 銀行取引はこうすべき『銀行も喜ぶ決算書の作り方』
5月14日(木) 「税務調査事例」
「財産評価の疑問点」
「白色申告の税務調査」
「その他もろもろ相談」
4月14日(火) 「低廉譲渡の寄付金認定」
「仮名外注費の仕入税額控除」
「その他もろもろ相談」
1月13日(火) 「査察調査」
「広域調査について」
「その他もろもろ相談」
 2014年
12月4日(木) 「広大地と評価単位、都市計画道路、利用価値低下」
日本年金機構と質問検査権
「その他もろもろ相談」
11月13日(木) 「限定承認とみなし譲渡」
「消費税取引(国内取引か国外取引か)」
「生産性向上設備投資促進税制
”B類型経済産業局事前確認にまつわる話”」
「その他もろもろ」
10月16日(木) 「最近の税務調査の事例など その1、その2」
「その他もろもろ相談 親子間の土地の交換(所得税)」
8月7日(木) 第50回東京浅草全国研究集会 大阪会 プレ発表
法人税制はどうあるべきか、改めて考える!!
5月15日(木) 無予告調査及び広域調査の問題点
「平成26年度税制改正」
「税理士法改正」
4月10日(木) 「譲渡所得における保証債務の履行による
課税の特例及び取得費について」
不動産鑑定評価書活用と価格の種類
「その他 もろもろ相談」
1月15日(水) 「重加算税の賦課の根拠」と
「新通則法の改正に伴う税務手続きの変化」について

「料調がやってきた」
「その他 もろもろ相談」
 2013年
12月5日(木) 「無予告調査が来ました」
経営革新支援機関認定制度
「その他 もろもろ相談」
11月7日(木) 「国税OBが語る、最近の税務調査の傾向と対策「法人税」」
「税制改正大綱と消費税について」
10月10日(木) 道路開設の必要性の判断‐広大地評価の事例(更正請求事案)
「移転価格税制 国際税務調査官の調査事例」
「その他 もろもろ相談」
9月12日(木) 「不動産所得調査事例(管理料、消費税、減価償却費 他」)
「相続税調査 他」
「その他 もろもろ相談」
8月8日(木) 「第49回京都全国研究集会 大阪会分科会 プレ発表
『国税徴収法の自力執行権(差押等)をどう見るか
‐公権力の乱用を許さないために‐』」
6月13日(木) 国税OBが語る税務調査対策
5月9日(木) 「遺産分割協議書の贈与税」
助成金の活用と落とし穴
「その他 もろもろ相談」
4月11日(木) 「徴収の猶予、執行停止の実務」
「平成25年度税制改正のあらまし」
「その他 もろもろ相談」
1月15日(火) 「生命保険活用による相続税対策事例報告」
未分割申告で審判確定の調査事例
「その他 もろもろ相談」
 2012年
11月8日(木) 「税務調査体験談」
「相続税調査あれこれ」
10月11日(木) 「「工場が燃えた!」保険金の種別と税務」
未払い残業代リスク
9月4日(火) 「事業承継税制(同族会社株式)の実務体験記」
相続調査事例と物納について
「その他 もろもろ相談」
8月9日(木) 「所得税の必要経費について(寸劇付き)」
(第48回名古屋全研大阪分科会テーマ)
6月7日(木) 「清算所得課税(H22年10月1日以後解散)における
期限切れ欠損金の損金算入について」
「徴収の現場の現状と、猶予及び具体的対処について」
「その他もろもろ相談」
5月10日(木) 開業税理士か勤務税理士か
4月11日(水) 「法人調査あれこれ」
「遭遇事例の紹介と、43年間に考えた事」
1月12日(木) 利益剰余金の資本組入れ
 2011年
12月8日(木) 「調査体験記”更正請求期限後の減額更正””白色申告者の消費税課税仕入”」
「税務調査体験談」
「その他 もろもろ相談」
11月10日(木) 「利益剰余金の資本組入れ」
法人所有建物の取壊し、立退き、解散に伴う借地権問題
「その他 もろもろ相談」
10月6日(木) 「法人税座談会」
9月6日(火) 「固定資産税・収入印紙が消費税の課税になるか?」
「税務調査あれこれ、税務署員から見た法人税調査」
「その他 もろもろ相談」
8月5日(金) 「加賀全研発表チームプレ発表 所得控除「憲法が求める非課税制度とは」」
6月9日(木) 「法人の調査事例」
社会福祉法人の税務調査における法人税の課税問題
「その他 もろもろ相談」
5月12日(木) 「税務調査体験談」
「多額な窓口差額の処理」
「融資が受けやすくなる決算書の作り方」
4月7日(木) 「医療法人の出資金の払い戻しについて」
「不動産業の消費税(個別対応方式の適用方法について)」
1月13日(木) 社会福祉法人の新会計基準(案)
最近の税務調査事例
 2010年
11月17日(水) 「土地区画整理事業区域内の土地の評価」
「税務調査と中国取引について」
「「直系尊属からの住宅資金贈与」の活用法」
10月7日(木) 「交流座談会」
「法人税事務の昨今」
9月9日(木) 分割協議と交換適用 会員権の譲渡損の否認等
「不服審判所への審査請求全面勝利 −借地権を巡って−」
8月5日(木) 「日本の法人税は本当に高いのか?」
−第46回千葉全研発表チームプレ発表−
6月9日(水) 生前贈与で2千万円の贈与税課税
「輸出免税の取扱い(製造業者・輸出業者どちらが免税か)」
「自販機による消費税防止策」
5月13日(木) 「NPO法人の消費税」
「経営計画」
「その他」
4月15日(木) 顧問先の借入元本返済猶予の申請
「残価保証のある車両の購入(ローン)及びリース取引について」
「税理士の懲戒処分について」
1月10日(木) "相続"未分割申告事例と所得税申告
社会福祉法人への不動産の寄附
「会社解散・清算の実務」
 2009年
12月10日(木) 「所得税・資産税 交流座談会」
11月12日(木) 「民主党政権の税制」
「保険金等による圧縮記帳」
「その他税務調査体験談」
10月8日(木) 法人税座談会 Mr.Xの独り言
9月9日(水) 「人間が好き、だから仕事も…今年の資産税をめぐるできごと」
「社団医療法人における基金に関する消費税の取扱について」
中小企業等協同組合会計基準
8月6日(木) 「税理士が知っておくべき滞納処分」
6月4日(木) 「相続税 非上場株式等の納税猶予」
「平成21年度税制改正」
法人事業税及び地方法人特別税の中間申告について
5月13日(水) 分割後1期目の決算
「税務支援制度の現状と展望」
4月9日(木) 相続税の納税猶予の一部打ち切り
「耐用年数1年未満の減価償却資産の取扱(パチンコゲーム機)その後」
「外国人の課税関係(租税条約により)」
2月 「資産税及び所得税〜確定申告に向けて」
(講師急病による休止)
1月15日(木) 「修正申告あれこれ2008」
通勤交通費の課税問題(税務調査より)
 2008年
10月22日(水) 「法人企業のデリバティブ取引」
「在庫等計上漏れが長期にわたる場合の別表処理」
「借地権課税入門」
「申告と実態が不一致の場合の相続税申告」
9月5日(金) 「貸倒損失・引当金の攻防」
「『中小企業の会計に関する指針』の実務上の適用について」
7月8日(火) 海外取引の消費税課否判断
「同族会社に対する貸地評価」
「短期使用資産の損金税務攻防」
「償却資産税の調査」
6月6日(火) 「相続時の借地権の評価−院長急死で廃院、借地権は?」
「税務調査報告−突然5人の署員が…」
「内部統制(J−SOX)入門」
5月9日(金) 「法人設立と賃貸建物の購入による消費税還付」
「3月決算5月申告法人のチェックポイント」
「平成20年度改正税法」
4月10日(木) 「広大地、無道路袋地の評価」
「無償による借地権の譲渡」
誤りやすい事例(国税通則法)
1月16日(水) 「相続」夫婦間賃借の債務控除/期限後の財産放棄
「小規模農業所得者の赤字損益通算」
「税務調査体験談」
 2007年
11月6日(火) 税務支援制度についての基礎知識
「取材を通しての税務支援の問題点」
「近税会における取組みの現状と課題」
10月5日(金) 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
「税務調査事例」
9月7日(金) 「ゴルフ会員権預託金の貸倒処理」
「法人契約生命保険料の諸問題」
資本剰余金の配当の注意点
8月8日(木) 生命保険満期金の所得の種類
「法人成りに伴う税務等」
「定期同額給与の税務上の取扱」
7月5日(木) 「中古建物の耐用年数」
「法人事業概況報告書の提出義務について」
所得税更正請求が認められた事例
6月6日(水) 変貌する税務行政…総合調査を体験して
「協同組合の役員報酬、医業の税務調査」
5月8日(火) 最近の社会保険法規の改正ポイント
「不動産取得税の取り消し事例」
「人格なき社団等に対する消費税の課否」
4月6日(金) ゲームソフト製作費用の配賦方法
「今すぐやる経営革新-同族会社の留保金課税の停止」
「同族会社の保証債務履行の譲渡所得の課税」
1月11日(木) 「源泉徴収、住宅取得控除」
「従業員の生命保険」
税務調査体験談
 2006年
11月7日(火) 役員退職金の損金算入をめぐる事案
10月6日(金) 自己株式取得等の税務処理関係
9月5日(火) 株式に係る相続対策等について
「同族会社の保証債務履行の譲渡と課税関係」
「相続税立会事例」
8月4日(金) 「埼玉全研チームのプレ発表」
7月6日(木) 「役員給与の損金不算入」制度徹底研究
6月7日(水) 「消費税還付の裏技事例」
「DES(債務の株式化)の活用を検討する!」
「新設分割と営業権(企業再生の手法)」


今後の予定は 「年間行事予定」 のページをご覧ください。
2017年5月18日
「税務署のはったり・脅し」VS「死人に口なし」のその後

昨年9月の第52回神奈川全国研究集会で発表・報告した相続税の更正処分等に対する審査請求について、 不服審判所は昨年12月に「審査請求をいずれも棄却する」との裁決を行った。
争点は、相続開始の約2ヶ月前と2週間前に被相続人の預金から引き出された約4000万円の現金が、相続財産か否かであった。 裁決に対して淡い期待はあったものの「やっぱりか!」との感想である。 その訳は、今回の裁決での事実認定が、過去の類似事例とほとんど同じ流れ・文言で行われていたからである。
また、請求人の主張については「採用することができない」と一蹴されていた。 不服審判所が公表している「審査請求の処理状況」によると、納税者側の主張を認めた「認容割合」はわずか8.0%(一部認容を含む)である。 そもそも、税務署側の処分に対して不服であり納得できないとして審査請求をしていることからすれば、9割以上が泣き寝入りしていることになる。
今回の事実認定は間接立証(背理法)で行われているが、不服審判所が十分に検証した素振りもなく、 真に公正な第三者的機関として機能しているのか疑問を感じたところである。


2017年5月18日
相続した同族株式を発行法人に譲渡した場合の課税関係

1.前提となる事実
(1)26年6月29日、父(不動産管理会社の代表)が死亡(相続人は長男のみ)
(2)同族法人28万株(総発行済株数は32万株)を父より相続(取得財産価額の内、約2/3を株式が占める)
(3)27年5月1日、当初申告書提出、本税(7600万円)の内6100万円を延納
(4)28年12月21日、実地調査に基づく修正申告書提出
(5)追加納税額2600万円のすべてを延納

2.譲渡の目的
(1)相続税の納付(繰り上げ返済) 金利負担の軽減(個人)、支払金利の費用化(法人)
(2)譲渡後における株価総額の引き下げ  将来の相続税対策

3.譲渡した場合の課税関係

4.譲渡所得の収入および経費
(1)譲渡収入について
(2)取得費用となる出資額について
(3)取得価額に算入できる相続税額について
(4)所得税の計算

5.譲渡(自己株式購入)前後の株価異動について
(1)自己株式購入前の株価
(2)自己株式購入後の株価


2017年4月13日
法人税の収益事業の判定について〜NPO法人が行う障害者福祉サービスは課税か

1.業界雑誌にて「NPO法人が行う障害福祉サービスは原則「収益事業」に該当」との見解
国税庁の見解が新たに示された。NPO法人だけでなく、社会福祉事業を行う社会福祉法人も対象

2.これまでの実務上の解釈
これまでの実務上の解釈は、グレーゾーン

3.障害福祉サービスは医療保健業か請負業か等の解釈について
(1)医療保健業ではない
収益事業34業種の中に、社会福祉業という事業はない。
就労支援事業は、実態からすると医療保健業ではない。

(2)請負業にあてはまるか
国税庁とすれば、障害福祉サービスは請負業(事務処理の委託を受ける業)に含まれる、とする。
これに対して、武田昌輔氏等は、収益事業は限定列挙である趣旨から請負業を拡大解釈するべきでないとする反論

(3)社会福祉制度改正が背景にある
課税とする解釈がでてきた背景には、社会福祉制度改正が背景にある。
結果、イコールフッティングの観点で、課税すべきとの声が出た。
もう一つは、事業者と利用者が直接契約する制度に変えられたことである。

(4)課税にさせないためには
課税としないために、立法政策的なアプローチが必要ではないか
・社会福祉事業第1種・第2種
・消費税との整合性
・租税法律主義の観点

(5)今後の動き
公益法人課税の見直しの議論
地域公益事業への取組
認定こども園も直接契約制度である


2016年11月16日
損失補填のための無償減資の実務

地方税の均等割額の負担を下げる目的で行った損失補填の無償減資の事例です。
ご存じのように平成27年度改正により、法人住民税における「資本等の額」は法人税法上の「資本等の額」から、 損失補填のため減資した場合の減少した資本金額を減資し、他方で利益剰余金や利益準備金を減少させて資本金額を増加させた場合には、 その増加した資本金額を法人税法上の「資本等の額」に加算するとの見直しがおこなわれた。
この改正(均等訳額の計算)は平成27年4月1日後に開始する事業年度から適用される。
損失補填減資は過去に実施した損失補填減資も対象になる。
今回の事例では臨時株主総会が開催されたのは平成25年6月10日で資本金の額の減少の効力発生日は平成25年12月1日とされたが、 法務局で申請し減少した資本金が登記されたのは平成28年4月11日だった。
最新年度の決算において減資処理し、減資後の均等割額の申告を行った。
今のところ市、県から疑義の提示はない。
一応の解釈として平成25年時において減資と損失補填がおこなわれたが、そのことが決算書上適切に表現できていなかった、と勝手に思慮している。


2016年10月19日
債務超過法人への貸付金は相続財産となるか

1. 事実関係は以下の通り
(1)被相続人は主催法人(自動車整備)の代表者で、平成27年11月に死亡
(2)法人長期間にわたり、赤字が続いており、相続開始時点において累積繰り越し欠損金が約1.8億円
(3)本件における相続税申告内容
 相続開始時の貸付金残高(1.6億円)より債務免除額(0.6億円)を控除した金額を相続財産として計上

2.今後、更正の請求を行うためのポイントは?
(1)法令の解釈
(2)具体的に立証すべき間接事実は?
(3)裏付け資料は?

3.これまでの判例及び裁決事例

4.以上、概要説明を行った後、先生方から頂いたご意見はほぼ以下の通り

5.今後の方向


2016年5月12日
納税の猶予と換価の猶予

先日、昨年4月に見直しが行われた猶予制度を体験することになりました。 この法整備の目的は、識者に言わせると「消費税増税に伴う滞納増加への対応」で納税者にとって「アメとムチ」らしい。 ご存知の方は多いと思いますが、申請業務を体験された方は未だ少ないのではないでしょうか。
何が変わったのか。大きな変更点は、これまで行政側の職権によって行われてきた換価の猶予に加えて、納税者の申請による換価の猶予が創設されました。 さらに、申請型換価の猶予創設を機に、納税の猶予、新たな申請型換価の猶予、従来の職権型換価の猶予の三つの猶予制度すべてにおいての 諸手続きが法律によって整備・具現化され、それらの申請書の作成・提出は納税者に義務化されています。

この制度の活用「税務署担当者の対応や取り扱い部署についての情報収集」は、最寄りの国税OB(徴収:管理運営経験者)が頼りになると思います。 アメは活用しましょう。


2015年12月10日
資産税調査の実態報告

1.まずは金融機関への照会から

2.準備調査
金融機関からの照会回答をチェック。

3.相続人調査
手続実施のため、電話で相続人に対し定型文を読み上げる。

4.反面調査
1)金融機関へ、そして生命保険会社へ。
2)内部資料がモノをいう
相続人と被相続人のP/Lを積み上げて、それぞれのB/Sを作成。

5.更正決定の決め手
ブツ(直接証拠)がなければ
質問応答記録書(リアルなものほど、質が高い)の作成(ストーリーを作る)が鍵。

6.調査結果説明
更正決定(黒部分)が前提の新法手続き。

7.起案
広域担当は、結果説明等を管轄税務署長に行う。事案によっては途中経過報告も。

8.懸念される職員の調査能力低下
急激な世代交代が原因で若手職員への調査技術の伝播が困難に。

9.総合調査は不評
成果は上がらず、手間がかかり非効率。

10.「ゆとり」「誇り」「仲間」を失った職員

(雑感)自らのエピソードを交えながら1時間ほど語らせて頂きました。
国税調査官の苦悩を少しでも共有してもらえれば、この研修の開催意義は十分にあった、と考えます。


2015年11月12日
相続税申告について

11月12日に開催された実務研究部の例会において、実際に経験した相続税の案件のうち特殊なもの3件について報告をいたしました。

1. 創業者一族の相続
被相続人はとある上場企業(以下「A社」とする)の創業者一族であり、多数のA社株式を保有していました。 相続財産3億弱に対し、現預金は1,000万ほどしかなく、納税資金を確保するためにはA社株式を売却する必要がありました。
売却先には、親族に相対取引で譲渡することが決まっていたので、各相続人に相続する株式数を、 納税額や相続人が当面の必要とする資金を考慮しつつ決定してきました。 そして、譲渡に伴う確定申告が必要となるため、その税額算定(所得税、住民税)についても提示いたしました。
また、相続人の1人が海外に居住していたため、遺産分割協議書の作成にあたり通常と異なる手続きが必要となりました。 印鑑証明が意味をなさないため、相続人自ら海外の領事館で承認を受けなければならず、通常より手続きが煩雑でした。 納税管理人の届け出など、注意すべき点が多かったです。

2. 連続相続の場合
平成27年度相続開始の案件でした。被相続人は父と母。相続人は子2人です。
父が死亡した翌日に母が死亡したため、2人の財産の算定をして納税額が少なくなるよう財産の分配をする必要がありました。
当初は母の財産に基礎控除額まで余裕があれば、父の財産を分配し、納税額を少なくしようと考えていましたが、 財産の整理を進めていくうちに問題点が出てきました。
問題となったのは生命保険です。生命保険は全部で7契約あり、父と母お互いに受け取れるものが多くありました。 父の相続により母が受け取る生命保険金が1次相続の際は非課税枠に収まったが、2次相続の際は未収金として本来の財産となってしまうこと、 また、生命保険契約に関する権利が発生するものなどがあり、結果、基礎控除額の改正も相まって、両者とも基礎控除額を超えてしまいました。
ただ、母は障害者であったため父の相続の時に少しだけ財産を相続させることで、他の相続人が障害者控除を使えるようにしました。

このほか、相続対策のため収益物件を建築中に被相続人が亡くなられた案件についても紹介しました。 この方については納税資金があったため問題ありませんでしたが、相続対策中に相続が発生すると、 相続される資金が減っているため納税資金について注意が必要となると思われます。


2015年11月12日
法人税の更正の申出手続について

平成23年12月2日以降に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年に延長された。
なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税については、更正の請求の請求期限は従来どおり法定申告期限から1年となり 延長されていないが、運用上更正の請求の期限を過ぎた課税期間であっても、増額更正ができる期間内に「更正の申出書」の提出をすることが できることになった。ただし、その内容等の調査に時間がかかる場合があるので、期限のおおむね3ヶ月前までに提出するようにされている。
今回、その期間内であれば、ギリギリに「更正の申出書」を提出しても良いと思って、ある法人の「更正の申出書」を提出したのだが、 税務署から時間がなさすぎるので、この申出書は減額更正ができないと連絡があった 。一時は目の前が真っ暗になったのだが、その後、「翌期欠損等の金額が少なすぎた場合の更正の申出については、法定申告期限から9年以内」 ということがわかった。私の事務所が提出したのは、欠損金の増額の更正の申出であったので、9年以内なので助かった。 これが税額が発生していて、その税額の減額であればアウトだった。みなさんはこのようなことはないと思うが気をつけましょう!!


2015年6月11日
銀行取引はこうすべき『銀行も喜ぶ決算書の作り方』

講師の柴口敏一氏は30数年に亘る金融マンで銀行支店長の経験者であり「他人の苦しみを自分の苦しみとし、他人の喜びを自分の喜びとする心」を モットーに活躍されている先生です。
融資を受け易くするために決算書作成段階で、税理士が気を付けなければならない点は、
1)B/Sの現預金は月商の1.5〜2倍にするために期末月に借りる、支払いをずらす
2)売掛金・在庫は粉飾の疑いに、未収入金・仮払金・代表者貸付金は異常値に、説明文を入れる
などです。もし赤字決算なら事業改善報告書(自己資本率を10〜20%に、負債返済計画は10年以内に)を丁寧に作成。 要するに銀行ランク(正常先→要注意先→要管理先→破綻懸念先→実質破綻先→破綻先)を下げないことです。
次に大事なことは、融資資金使途違反にしない、借入時期は3、5、6、9、12月、借入銀行に定期性預金しない、 ついでに銀行員はトイレの綺麗さも考慮するとか…。うーん、実に納得できる参考になる話でした。


2014年12月4日
日本年金機構と質問検査権

当日は事例を題材に日本年金機構の調査について報告をした。

本年6月に日本年金機構による算定基礎届の定時決定時調査ということで、来所の依頼が当事務所にあった。
そもそも、当事務所には被保険者は一人だけであり、何ら疑問を挟まれる余地もないという自負もあったので、 なぜに調査に応じなければならないのかその理由をただそうと日本年金機構の尼崎年金事務所に、その法的根拠を文書でもとめた。 その文書をめぐっての電話でのやりとり等を通じて私なりに感じた問題点は以下のとおり。

一つは、「立入検査」という条文が健康保険法198条、厚生年金100条にあり、条文には「必要があると認めるときは」と規定しているが、 文書では「厚生労働大臣の認可を受けた年度計画によりすべての事業所を対象に4に―年に一回を基本に実施させていだいている」と回答があった。
この回答によれば事業所ごとに必要があるかないか等の判断なく、すべての事業所を対象にするといことだ。 これでは「必要があると認めるときは」規定が無意味となる。
現行の定時決定時「調査」の根拠を健康保険法に求めるには無理があると思われる。

二つ目は日本年金機構という行政機関ではなくなった一民間法人(法人法上は公共法人に区分)に質問検査権の行使ができる根拠として、 健康保険法、厚生年金法に「厚生労働大臣の権限に係る事務の委任」規定があり、その委任した事務の一項目として「質問及び検査」がある。 しかし「質問および検査」に係る事務の中味、範囲についての規定がない。
この点については「委任規則」のようなものがあるなら当該規定を文書で紹介していただきたいと依頼したが結局回答がないままであった。
実際の場面で乱暴な調査があるということはあまり見聞きしないが、適正に行われているのか否か判断基準が明確になっていないのではないかと思われる。

質問検査権が濫用されないよう、事業所側からも手続きについてチェックしていく必要があると感じた今回の一件でした。 因みに、当事務所の基礎算定届は受理され、標準報酬は無事決定された。


2014年8月7日
法人税制はどうあるべきか、改めて考える

1. 国際的な法人税率引下げ競争
法人税引き下げ競争の状況と、OECD及び日本における対策

2.政府財界の主張について
1)政府税調法人課税ディスカッショングループ
 法人税率引き下げと課税ベース拡大に関する議論紹介
2)経団連「法人税の改革について」に関する意見書

3. 憲法と法人税制
1)統計資料の分析
2)法人税そもそも論
3)発表チームの考え
 内部留保を厚くし資金を金融資産に投資し利益を上げる大企業の現状と厳しい経済環境の中で雇用を支えている小規模法人の実態にふさわしい課税はどうあるべきか。
 法人実在説に立ち、憲法の応能負担の原則に従い、法人がその担税力に見合った税負担を行うことができるような税制を構築するべきではないか。


2014年5月15日
無予告調査と広域調査の問題点

■無予告調査は憲法の適正手続規定に違反していないか
・国税通則法74条の10は『事前通知を要しない場合』となっているが、納税者側からみれば『無予告調査』という言い方が適切である。 憲法の主権在民、基本的人権の尊重、租税法律主義の観点から、同条の規定はおかしい! このことを誰も指摘しないのか?  アレッ! 私の方がおかしいのかな?
・農業所得者の税務調査
当初申告は私が関与していないが、調査の段階で「税務代理権限証書」を提出し、調査の立合いをした事案。
ぶどう生産販売農家Bは白色申告の農業所得者。毎年期限内にY署へ確定申告。
8月×日、朝9時過ぎにH署の広域担当職員5人がぶどう直売所と自宅へ無予告で調査にきた。
Bから農民団体を通じて、私は急遽、調査の立会の依頼を受けた。調査に来ている調査官に電話し、無予告なのですぐ退去するよう要請。 また、統括官と副署長へ電話で抗議。「見せてもらえないのなら、帰らざるを得ませんな」と言い退去の指示を出させた。
・通則法74条の10の規定を新設したが、権力を持った税務職員が無予告調査を行うことは、憲法の適正手続違反であり、大問題である。 新調査手続きの透明性及び納税者の予見可能性を高める観点などから、税務調査の事前通知は憲法の法定手続等の要請である。

■なぜ無予告調査なのか
・74条の10のどれに該当するのか? の問に調査官は通達の4の9の1号と3号、4号と言う。 通知することにより、不答弁、偽りの答弁、若しくは忌避することの助長。調査を困難にすることを意図し逃亡する。 調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、などが合理的に推認される場合等々、と調査官は主張。
・私は、おそれがあるといことは恣意的な判断に基づく主観的な認識でしかなく、科学的ではないと主張。私は次の3つのことも主張。
@現況調査はお断り。Aコピーはお断りする。B資料の持ち帰りはお断り。

■請願書を提出
今回の調査でY税務署長へ3回請願書提出。「無予告調査の理由と広域調査の法的根拠について」
調査官はBの店は国道筋に面し、現金商売でよく売れている、推計売上金額と申告金額とはかなりの開差がみられる、などと抽象的な理由を言っている。 また5人の調査官は全員H署の職員であるのはなぜか。申告地のY税務署の職員が一人もいないのはなぜか。
・調査官らは少額な薬剤の使用量から推計し、約1600万円の売上げもれがあるとの根拠の乏しい指摘をしたが、Bは納得せず。 請願書の口頭回答には、税務署長の判断で事前通知をしなかった。広域担当のことも、Y税務署長の権限に属することである。
『広域調査』は人事院規則18の2によるそうだ。納税者に何カ所かの事業所がある場合は所轄署をまたぐこともあり得るが、 調査担当者全員が所轄署以外の者で一か所の事業所に調査することは普通あり得ない。
最終的に修正をしたが、無予告調査・広域調査は問題だ。


2014年4月10日
不動産鑑定評価書活用と価格の種類

・不動産を売買・(等価)交換するとき
  → 関連会社間売買・会社と役員間売買や親子間売買・贈与 等
・コンサルティング業務
  → 広大地評価について 等
・適正価格が必要な時
  → 相続時の適正価格の把握 等
・不動産賃貸借
  → 家賃・地代、借地条件変更承諾料の評価 等
・不動産担保に関連するとき
  → 資産価値の把握が必要な時 等

1. 公示価格……地価公示 国土交通省 毎年1月1日時点の価格(= 正常価格)
2. 基準地価格……地価調査 都道府県知事 毎年7月1日時点の価格
3. 相続税評価額……路線価 国税局 毎年1月1日時点の価格
4. 固定資産評価額……市町村 3年毎の1月1日時点の価格
5. 実勢価格……相場価格 宅建業者 売り手価格 買い手価格
6. 鑑定評価額……鑑定評価基準 正常価格・限定価格・賃料・地代 等 
           最有効使用 評価条件 不動産価格の3面性
           市場性・収益性・原価性=鑑定評価の3手法


2014年1月15日
「重加算税の賦課の根拠」と「新通則法の改正に伴う税務手続きの変化」について

表題の実態を把握するために、現在税務当局が推し進めている見解と手続きの流れを検証することとする。 今回はその入口として、次の3点について報告し討議を深めたい。

1)調査と行政指導の区分は明確にされるべきであるが、現実的には調査手続きの複雑化に伴い税務調査件数が減少しているという現実を補う手段として、 当局は区分を曖昧にした「ハイブリット調査」を強行し、納税者権利を脅かしている。
2)重加算税の「隠ぺいし又は仮装」については、事務運営指針を各種税法ごとに発遣してきめ細かく取り扱っているため、納税者を守るためにも、 必ず一読しておく必要がある。
3)新通則法税務手続きにより、調査による重加算税の「不正の事実把握・証拠収集・調査結果説明・重加算税通知方法(理由附記)」が 大幅に改正・明記(変更)されており、納税者権利を守るためには、その行為が適法か否かを、その度毎に検証し問い質す必要がある。


2013年12月5日
経営革新等支援機関認定制度

当事務所は、12月4日付で経営革新等支援機関に認定されました。

1. 経営革新等支援機関とは
中小企業の経営力の強化を図るため、中小企業の支援事業を行う者を認定し、中小企業基盤整備機構からの専門家派遣や信用保証協会の保証付与による 資金調達支援を受けて、中小企業に対して、「チーム」として専門性の高い支援を行うために整備されました。
税理士を中心に認定申請が相次ぎ、12月4日時点で、認定機関数は全国で19,788件数となっています。 うち税理士・税理士法人・公認会計士が約85%を占めています。
なお、実務研に参加された人のうち、半分が認定済みでした。

2. 5つのメリット
主に5つのメリットを紹介します。
(1)経営力強化保証制度による保証料の引き下げ
信用保証率を0.2%引き下げます。(条件:金融機関と認定経営革新等支援機関の支援を受け、事業計画をつくり、計画の実行状況をつたえること)
(2)資金繰り支援 経営支援型セーフティネット貸付
日本政策公庫、商工中金において、認定経営革新等支援機関の支援を受け、運転資金の利率を基準から0.6%引き下げます。
(3)経営改善計画策定支援事業
借入金の返済負担等、金融支援が必要な中小企業者に対して、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善を行うこと。 経営改善計画策定支援の費用等について、3分の2(上限200万円)の補助を受けることができます。
(4) 創業補助金制度
@地域での起業、A事業を承継し新事業に進出(第2創業)、B海外市場への展開
のいずれかの取組みを行う個人、中小企業者に対し、創業・広告等に必要な費用の補助(地域創業の場合、3分の2(上限200万円))を受けることができます。
(5) 商業・サービス業・農林水産業活性化税制
…商業・サービス業・農林水産業(貸付の用を除く)等を営む中小企業者等が建物附属設備(1台60万円以上) 又は器具・備品(1台30万円以上)を取得した場合に、取得価格の30%の特別償却又は7%の税額控除を認めます。 新品のみです。税額控除の対象法人は、資本金が3,000万円以下の中小企業等に限ります。

3. 活性化税制の注意点
指定事業の用に供することを要件の一つとしています。措置法20条の8Aに、指定事業が書かれています。 その中で「サービス業(・・・、医療業、・・・を除く。)」とし、医療業は除くとされています。
そのため、器具及び備品に含まれる医療用機器は、医療業のために使うものなので、対象となりません。 しかし例えば消毒殺菌用機器を、飲食店の衛生のために使うというのであれば使えます。

4. 経営革新等支援機関の認定申請をしていない新人会の会員のために
新人会に加入する法円坂法律事務所(6944-1271)が、経営革新等支援機関の認定を受けています。 認定申請をしない会員で、活性化税制等を利用することを検討している場合、ぜひご利用ください。


2013年10月10日
道路開設の必要性の判断―広大地評価の一事例(更正請求事案)

測量図はなく、公図も現況を反映していないいいかげんなもので、しかも敷地のうちに法定外公共物が存在している土地があった。 相続人に測量の意思がなかった(隣家との関係が不良)ことから、公簿面積から法定外公共物の巻尺で測った面積分を控除した地積により申告を行った。 しかしその後、法定外公共物の買取りのために、当該部分の測量のついでに評価対象地全体の測量もしてもらったところ、 実測は500uを超えていることが判明。 評価の見直しに際して、広大地評価の適用の可能性を検討したところ、書籍のなかには、本件の評価地と類似の接道状況と地積の土地について、 路地場開発が可能であることをもって広大地評価の適用を不可とするものがあった。
そこで2007年7月9日裁決が示した広大地評価の判断基準、とくに4番目の点(評価対象地の存する地域において路地状開発による戸建住宅の分譲 が一般的に行われていること)で、路地場開発が妥当ではないことを明確にするため、できるだけ遡って「その地域」における開発登録簿の交付を受け、 また公図や地積図から、道路開設事例や路地場開発の事例を入手(結果、当該「その地域」では、500uを超える宅地開発での路地場開発事例は 皆無であった)し、さらに経済的に最も合理的な開発方法如何を検証するために不動産鑑定士に依頼して開発法による比較検討も行った。
以上の点を意見書にまとめ、広大地評価を適用して更正の請求書をしたところ、結局臨場はなく請求内容が認められた。 隣家との関係や測量コストの点で、相続人に実測してもらうことを遠慮した結果、後で面倒な作業になってしまった事案だった。


2013年6月13日
国税OBが語る税務調査対策

若手の先生が一番不安に思うことは調査への対応ではないかということで、今回のテーマが決まった。 よそでは決して聞けない話、専門誌に載っていない話が満載の例会だった。
所得税OBの大辺先生は「調査対象選定はデーター処理した機械が選ぶのが基本。機械に馴染まない部分は担当者の第六感で決めていくので、 先生方は「何故うちを選定した?」などと余り深読みをしないほうが良い。 調査の内容を決める主要な要因に、その背後にいる上司や税務署のトップの思惑で左右される。 税理士のあるべき姿として、勉強と経験の蓄積が重要で、一般法・税法の勉強と交渉術・場数を踏む事。 自分の特性を生かしながら落とし所を探っていき、反省しながら次回に蓄積して行くこと」と熱弁。

法人税OBの松本先生は「税理士の差が出てくるのは調査立会いの態度である。 納税者(お客様)の前では見せ場を作ることも必要であり、黙っていては役所側か納税者側かの立場か分からんからハッキリと主張は言うべきだ。」と話した。

資産税出身の疋田先生は「資産税部門は資料の蓄積が全て。 借地権問題では、昔はよく認定課税をしていたがその後無償返還の届け出など経緯があるが、意外と若い税務職員はそれを知らない。」などを丁寧に話された。


2013年5月9日
助成金の活用と落とし穴

1.助成金とは
助成金とは国、都道府県などが民間の取り組みを助成するもので、役所ごとに様々な助成金があります。 主なものは経済産業省の中小企業振興や厚生労働省の雇用促進に係る助成金が一般的です。

2.社会保険労務士が関わる助成金
社労士の業務として関わる助成金は厚生労働省の助成金が中心です。その他、経済産業省などの助成金に関わることもあります。

3.雇用に係る(厚生労働省の)助成金の財源
財源は国の一般会計から支出される(税金)ものもありますが、雇用に係る助成金の一部は税金ではなく、 事業主が負担する雇用保険料からまかなわれています。 雇用保険二事業というもので、全額事業主が負担しているので、積極的に活用を検討するべきものです。

4.助成金の特徴
政府等の裁量が大きいことが特徴です。 そのため、助成金の種類は毎年変更され、予算がなくなれば年度途中での打ち切りや支給要件の厳格化などが行われます。
以下、厚生労働省の助成金の紹介となりますが、助成金の主な目的は人件費の補填を目的とするもの、 研修や機器の導入など職場環境改善の補助を目的とするものに分かれます。

厚生労働省の助成金の内容(20種類以上あります)
1)雇用の維持確保
2)就職困難者の雇入
3)労働者の処遇改善や職場環境の改善
4)従業員の能力向上

5.助成金の活用効果
助成金を活用することによって、正社員の転換に成功し、社員の定着が可能になります。 費用面からの助成だけでなく、制度の構築、労務管理の改善も進みます。

6.助成金の落とし穴
助成金を利用することの目的は、「助成金の獲得」ではなく「企業と労働者の成長、環境改善」です。 助成金の獲得ありきで申請するとつじつまが合わなくなり、調査対象になったり、不正受給の危険が出てきます。 また、予定よりも雇用保険、社会保険の加入により労務コストが増加することがあります。
やはり、助成金の目的を間違えないこと。企業に需要があって積極的に活用するという視点が必要です。

8.助成金の申請のポイント
1)労災・雇用保険、社会保険(適用事業)の加入
2)労働基準法の基本部分の遵守(休日、労働時間、残業代)
3)事業主都合の離職をさせないこと
4)支給要件の確認

9.助成金を請け負う場合のポイント
助成金を請け負う際は、社会保険加入などの労務コストの増加や受給できない場合の説明など事前にリスクを説明し、 手続き費用についても了解を得ておくことが大切です。


2013年1月15日
未分割申告で審判確定の調査事例

1.事件の概要
弁護士より依頼された相続税申告書の作成業務であり、被相続人は71歳で、先妻との実子の3人と、再婚した後妻の連れ子で 養子とした子2人の法定相続人が、6人で家裁に分割調停の申し立て係争中の配偶者側の代理人とする委任事例であった。

2.未分割申告書の作成
弁護士が家裁に提出した財産目録等を基に評価し作成したが、問題点としては、調停のためでは不確実である財産も含めて話し合いで 確定するが相続税での課税財産との整合性の判断があった。

3.家裁での審判
その後審判が不動産がそれぞれ法定相続分により共有取得とする。
預貯金及び貸付金未収金はいずれも金銭債権(可分債権)であるから、分割を待つまでもなく、 相続開始時の法定相続分で各相続人に帰属しているものであるから、分割手続きの対象財産にはならないとの審判するとした。
しかしながらこの件に関し、その弁護士より私の方に報告説明がその時には無かった。

4.税務署よりの呼び出し
当初申告期限より3年経過する日の三カ月ほど前の日に呼び出しがあり、統括官よりこの申告書の作成経過事実確認方法と 認定等の質問が私にあり、相続人宅及び相続人等の直接質問等は無かった。
提示された調査財産は預貯金未収入金等の1500万円余り、相続時精算課税6700万円、及び1億2500万円の生命保険金等多額であったが、 当方の関与及び反論釈明できるのは預金引き出し等のみで他は相手方のものであり当方は一切関知しないことであった。
また、この件は審判で分割が確定したと判断するとの事その修正更正の期限が過ぎているが、配偶者軽減適用の可否は、 重加算の対象財産とも合わせて質疑交渉するも当方には仮装隠ぺいには該当しないが、未分割修正申告書の提出を要するとの事であった。
調査内容を弁護士と相続人に説明するも、修正申告に応ずるが納税額の対応は?とその財産の内容と多額に驚き遺産分割の 再審判申し立てを準備するとのこと、民法上の遺産分割と税法は別視点。

5.民法上の未分割の財産振り分け
未分割遺産を法定相続分に、相続時精算財産を当該相続人より控除して、その配付された法定相続分の価額を振り分けて 未分割財産の取得可能額を計算し、未分割財産に対する具体的相続分の価額を計算する手法が振り分け方式であると教示を受けたが、 私は初めての事例であった。

6.相続税の更正の申し出書
懸案の配偶者軽減の適用については、この適用を受けるためと分割確定(審判)による更正の請求を怠ったためとして、 更正の申し出書を修正申告書と同時に提出することとした。
その事により修正申告書の配偶者の軽減適用により取消し実質納付額が無いこととなった。

7.この事案を通じて
調停事案が多いが資料請求または閲覧等の委任状に相手側の押印が不可能であり、確認等する手法が無い経験をしたが、 何か別手法が無いものか。
家裁の分割調停事案での民法上の財産及びその時価が相続税法との整合性が無い場合があり、 弁護士との連携を密にする必要性と努力不足を痛感した事例であった。


2012年10月11日
未払い残業代リスク

10月16日に厚生労働省が、平成23年度の賃金不払残業(サービス残業)是正結果まとめを発表しました。
それによると労働基準法違反で未払い賃金に対する是正指導受けた企業の中で、支払額が最も大きかったものは、1社で26億8,844万円でした。
賃金の請求権に対する時効は2年です。つまり、未払い残業代は2年間積み立てられることになります。 仮に一ヶ月に1〜2万円としても2年分となると20〜40万円になり、それが10人分なら数百万円になります。
この隠れ債務は、ある日突然労働基準監督署の是正勧告で表に現れる可能性があります。そうなると企業の収益を圧迫することは必至です。 そのため、このリスクを回避する対策が、企業には必要です。

未払い残業代発生には、全く払う意思のないケース以外に、社内で以下のような独自ルールを設定して金額を抑えているケースがあります。
1)残業時間計算ルール
「今日の残業は1時間に達していないから、今日の残業代はなし」といった扱いをするケースです。
2)時間外手当の単価計算基礎になる項目を限定
残業代を計算するときの計算式は「残業手当単価=月の賃金総額÷月の所定労働時間数×1.25」で、この月の賃金総額を基本給のみ等にしているケースです。
いずれの場合にも、是正勧告を受けると正しい計算による支払いが必要となります。

未払い残業代の発生を避けるためには、法律の範囲で対策を取り、就業規則等を整備する必要があります。 主な発生回避対策は以下のとおりです。
1)残業の許可制(残業時間の管理)
必要な残業のみ会社が許可を出し、業務命令として残業をさせます。
2)休憩時間の活用
日中に空き時間が発生するが、どうしても夜に仕事があるため拘束時間が長くなる仕事の場合、昼休憩以外にも短い休憩を追加します。
3)残業代込の給与設計
1月あたり〇時間の時間外手当込の設定をして残業代の発生を極力抑えます。 ただし、実質的な不利益変更になりますので、就業規則等の整備以外に社員の個別同意が必要となります。
4)変形労働時間制の導入
変形労働時間制には、1カ月単位、1年単位、1週間単位、フレックスタイムなどがあります。 これらは一定期間において週平均が40時間以内であれば、ある日8時間を超えていても、あるいはある週で40時間を超えていても時間外手当を支払う必要がありません。
5)パートタイマーの活用
単価の高い正社員に残業してもらうより、単価の低いパートさんで対応すれば経費も削減できます。


2012年9月4日
相続調査事例と物納について

(1) 相続税調査事例 平成21年に夫Aが亡くなりました。Aの職業は医師。 デパートの外商で時計や貴金属を購入していたもので、相続財産に上げていなかったものがあったことを指摘されました。
調査で出てきた時計と貴金属(外商より購入)の金額合計は約25,296千円
点数にして6点(その中にもう一つの時計も含まれていた)
ただし、そのうちの指輪2点については、相続時、家のどこにも残っていなかったので、修正せず。 残りの宝石3点(ダイヤでない色石)と時計については、時計・宝飾品専門の評価額を出してくれるところに評価をしてもらいに行きました。
すると、宝石3点は買った値段が約12,166千円のものが、評価額合計132,000円であり、時計については、取得金額が3,260千円のものが500千円という とんでもなく低い評価額になりました。

その評価額を調査官に見せたところかなり疑わしく信じてもらえなかったのですが、実際にダイヤモンド゙以外の色石は基準となる評価額が無く、 中古となるとずいぶん価値が下がると専門の業者も言っており、この評価額が正しいものですと主張し、なんとかしぶしぶであったが認めてもらったのです。
貴金属も時計などは専門の業者に評価してもらうと安い評価額になることが多いので、そういう業者にお願いするのもいいと思います。費用も案外安かったです。

(2) 有価証券の物納について
財産の内容→ 共有不動産、本人に対する貸付金、有価証券(上場株式)、預金
上記のうち有価証券が相続財産の半分を占めていました。 共有不動産も貸付金も物納が不可能であり、相続税を支払う預金もなかったため、株式を物納申請してみることにしました。 株式の時価は相続時より支払時の方が下がっており、相続時の評価額で物納ができれば、株式を売却して相続税を納めるより相続人が有利になるので、 その意味でもメリットがあったのです。
私は物納申請が初めてでしたので、所轄の税務署に行って申請書の書き方など詳細に説明を受けました。 結構親切に教えてくれました。ただし、物納は最近なかなか認めてもらえないと税務署員も言っていたので、どうなるか不安でしたが、 意外に申請書を提出してから時間もそれほどかからず許可が下りたので、やってみるものだなあと思いました。
相続人の方にもとても喜んでいただきました。


2012年5月10日
開業税理士か勤務税理士か

今回の実務研はいつもと変わった形式で4名のパネリストと進行役との対話形式で進められていきました。 テーマは私としては非常に興味のある「開業税理士か勤務税理士か」で、4名のパネリストの先生方に色々な立場から今までの経験話を聞くことが出来ました。

元々、開業を目指してこの世界に飛び込んだ私ですが、正直現況ではどちらの道に進むべきか悩んでいる私にとっては非常に興味のある話ばかりで ずっと聞き入っていました。
当日お話して頂いた勤務税理士の先生と開業税理士の先生の仕事におけるメリットやデメリットとしては、
・勤務税理士
 メリット⇒仕事の幅が広い、規模のある事務所ならリスク管理が整っている
 デメリット⇒仕事のペースが自分で決められない
・開業税理士
 メリット⇒自分の時間がもてる(逆に全くない先生もいましたが)
 デメリット⇒開業当初は仕事がない、営業努力が重要、リスク管理が大変
他にもたくさんの意見がありました。
改めて自分の今後について考えるいい時間となりました。


2012年1月12日
利益剰余金の資本組入れ

顧客より増資の相談があり、検討した結果、利益剰余金の資本組入れが可能であることがわかったため、それを採用することになった。

利益の資本組入れとは、無償増資の一種で、過去に蓄積した利益の一部である利益剰余金(その他利益剰余金または利益準備金)を 資本金に振り替えることです。現金を用意しなくても資本金を増やすことができるので、増資の必要がある場合には選択肢の一つとして有効な制度。
株主総会の決議は必要ですが、会計処理としては (借)繰越利益剰余金(または利益準備金)××× (貸)資本金×××となる。

この場合、利益を資本金に振り替えても税務上の資本金の額は変わりありません(税務上は仕訳なし)。 したがって、資本金基準を設定している制度として、法人税の軽減税率の特例、留保金課税、欠損金の繰り戻し還付、政策税制の中小企業者等の判定、 交際費課税、外形標準課税、法人住民税や法人事業税の超過課税、少額減価償却資産の特例があるが、資本金1億円超とならない限り影響はありません。 しかし、会計上の資本金が1億円を超えると外形標準課税の対象となってしまいます。 また、資本金等の額は変化しないため、寄付金の損金算入限度額、法人住民税の均等割りも変動することはありません。

ただし、会計上の資本金と税務上の資本金が異なることになるので、法人税の申告書での調整(別表五(一))が必要になります。


2011年11月10日
法人所有建物の取壊し、立退き、解散に伴う借地権問題

【事例】
T法人は昭和46年ごろから代表者A氏及びその親族が所有する土地に貸工場を建設し貸付しているが、 現状では空きが多くなってきており入居の見込みもないため、5年以内に土地の売却を計画している。
売却に先立ちT法人は2〜3年以内にテナントの立退きを完了させ、貸工場を取壊したのち会社を解散、清算する予定である。
実際支払地代は相当地代には満たない金額である。無償返還届は未提出と思われる。

【借地権問題の検討】
(1) 法人税の課税問題
社会福祉 無償返還届について
法基通13−1−7によれば、無償返還届の提出時期は、設定後「遅滞なく」とされている。 その提出時期は、一般的には、当事者のいずれかが法人の場合には、契約を締結した事業年度の申告期限までとされている。 しかし、本来、無償返還が認められるかどうかは、当事者の合意が優先すべきものであって、無償返還届を提出するのは、その合意の確認に過ぎず、 一定時期までに提出しなったことにより、無償返還に関する当事者の合意が無効になることはないと考えられる。
(2) 建物を取壊した時に借地権は消滅するのか
建物の所有を目的とする借地権は、建物が滅失しても、その借地権の存続期間中であれば、消滅しない。(借地借家法7(1)、旧借地法2(2))
(3) 法人が解散、清算した場合その時点で借地権は消滅するのか
 経済環境の変化により、借地上の建物をそのまま利用することが困難となり、他に転用するとすれば、相当の改修等をしなければならない状況において、 再投資をしても、営業を継続することについての採算が立たないため、やむを得ず建物を取壊し、借地契約を解除して借地を返還する場合には、 地主が返還を受けた土地を直ちに他に譲渡する場合を除き、無償返還が認められる。

借地権問題について以上の検討を行いました。 結果、無償返還届を早急に提出するのがいいのではということになりました。


2011年6月9日
社会福祉法人の税務調査における法人税の課税問題

(1) 法人税の課税問題
社会福祉法人は、公益法人に属し、法人税については原則非課税とされ、収益事業(政令の34業種)を営む場合には、 その収益事業から生ずる所得は課税対象となる。

(2) 法人が行う社会福祉事業等の中で収益事業に該当するものは。
1.当初の指摘事項
イ) 研修・実習生受入れによる収益→請負業に該当
ロ) 配食サービス→飲食店業に該当
と税務署主張。
2.今回の結論
上記イ)について、保育所、介護施設等において、実習指導を行っているが、あくまで介護事業等に係る人材育成の立場より研修・指導を行っており、 収益を目的とするものでもなく、事業としての社会通念上一定規模を有しておらず、課税対象外である旨主張し、認容される。
上記ロ)については、特養施設の入居者に本来食事を提供しているが、別途その地域のお年寄のために配食サービスを行っており、 専用スタッフ有、一定の収入と利益が確保され、継続的に事業が行われ、年々増加傾向にある等の状況を踏まえ修正に応じた。


2011年1月13日
最近の税務調査事例

(1) 輸入代行業か輸入販売業か
1.今回の事例は中国から石材製品を輸入している個人の納税者に対する税務調査事例でした。 当初の申告は輸入代行業としてコミッションのみを売上に計上していたため、消費税の課税売上高は1,000万円以下の免税事業者でした。 石材の輸入はすべてこの納税者名義で輸入し、仕入代金も得意先から預かって海外送金も代行していました。
しかし調査の過程で、ある得意先についてのみ、商品の品質の責任の所在、通関後の引取りをその得意先とし、コミッションの計算根拠も その得意先には開示していないことが判明し、調査官からこの得意先との取引は卸売にあたり、課税売上高が1,000万円を超えるので 課税事業者となるのではとの疑問が出されました。

2.事前通知は納税者だけに
この調査は、税務署員が納税者のみに事前通知をして会計事務所にはなんの連絡もなかったので調査初日にその点を糾すと 「○○税務署ではすべて納税者にしか通知しないことになっている」と回答。
税理士法には納税者と税理士の両者に通知する旨が定められていることを告げると「統括官に言ってもらわなければ私ではどうしようもない」と逃げ、 調査が進む中で帳簿のコピーや貸金庫への同行を断ると「納税者は税金をごまかしている。だから調査でそれを見つけるのが私の仕事」 「税務署は所得の確認に関係のないものは要求しない。だから私が見せてほしいと言うものはすべて調査で必要なものです」 と納税者を脅し挙げ句の果てには「身分証証明書さえあれば何でもできると考えてもらっていい。水戸黄門の印籠のようなものです」と ホントにそんなこと言っていいのと思うような発言まで飛び出す始末で、初日、2日目とほとんど調査にはならず時間切れ。

3.税務署の脅しに屈服した納税者
そんな調査官の発言を許すわけにはいかないと『請願書』の準備を進めていたところ、納税者が独断で税務署に 「調査が早く終わるならコピーを取りに来てもらっていい」と電話。
その得意先への反面調査もOKしてしまい、会計事務所に対しては「税金を出来るだけ安く済ませるのがおたくの仕事」と言い出すに及んでは、 こちらも開いた口がふさがらず、とりあえず「帳簿の提示がなかったので仕入税額控除できません」と調査官に言われていた点だけは 何とかクリアして決着しました。

4.仕入帳を作成して一所懸命対応している奥さんがいなければ途中で投げ出していた調査でしたが、 日頃あれだけ勇ましいことを言っていた納税者もいざ本番となると税務署員を怖がってしまうという見本のような調査で、 日常から納税者との信頼関係を築くことの大切さを教えられた事案でした。

(2) 関係会社に対する買付金の貸倒れ
1.3年後にまた調査
3年前の調査では是認通知をもらった法人が、調査の翌年の決算で思わぬ利益を計上したため、 取締役が同一のA法人に対する貸付金を貸倒れとして損金算入したところ、今回の調査で、調査官から「寄付金ではないか」との指摘された事案です。
A社以外にも不良債権を長年にわたって抱えており、A社以外は『債権放棄通知書』を送付しましたが、 A社については債権を放棄するに至った「取締役会議事録」とA社との間の債権放棄の「合意書」を作成して調査に臨みました。

2.1ヶ月後に税務署に連絡
調査ではコピーを断ったため10数通の通知書、議事録、合意書をすべて書き写して実調は終了しました。 終了時には給与関係で修正すべき点の指摘がありましたが、1ヶ月もたった後にA社に反面調査したいと連絡がありました。 「社長は多忙なため面接する時間がとれない。質問があれば文書でお願いしたい」と回答。数日後に調査官が質問書を持参。 質問の中身は貸付金の内容と貸倒処理するに至った経過の説明を求めたものでした。

3.12月14日に回答書を送付
A社の資料が散逸してしまっていることから残っている帳簿と記憶を辿りながら、債権放棄しなければ本体の会社の事業展開上支障が出ることを アピールした言い回しの回答書を作成し送付しましたが、1月の実務研当日までは何らの動きもなく、これで調査は終わったのでしょうかと 述べて実務研での発表を終えました。

4.また質問書
ところが数日後、社長にもっと話を聞きたいとの電話があり、「文書でのやりとりでお願いします」と答えると、 前回よりもさらに詳しい内容を問う質問書が送付されてきました。 納税者と相談したところ、「前回、回答したことで覚えていることはすべて答えた」とのこと。 着手してからもうかれこれ半年余りになりますが、納税者は課税するならば更正してもらってもかまわないと考えています。 税務署の方で課税処分できない理由でもあるのでしょうか。この再質問書、回答せずに放っておこうかとも納税者は言っています。
回答しなければならないのでしょうか。会員皆様のご意見をお待ちしています。


2011年1月13日
社会福祉法人の新会計基準(案)

現在の会計基準は平成12年に通知されましたが、それ以前は昭和57年の経理規程準則によって、社会福祉法人の会計が定められていました。 今回の改定は平成21年12月に素案という形で、関係者宛に配布され、その後一年の意見収集を経て、このパブコメ公表となったようです。 おそらく3月には確定版としての会計基準が通知される事と予想されています。
新会計基準を設定する目的は、社会福祉法人における会計ルール併存の解消による事務簡素化 、効率的な法人運営及び公的資金を受け入れていることから 国民に対する説明責任を果たす事とされています。 しかし本音のところは、株式会社等に社会福祉事業参入の垣根を低くし、競争原理を働かせたいという事や、 将来の社会福祉法人に対する法人税課税のための地ならしが目的ではないかとも言われています。
改正点として、大きな変更は社会福祉法人で行う事業の全てが新会計基準の適用範囲となること、それに伴う計算書類の簡素化、 区分方法の変更(拠点区分の導入)ということで、それ以外には、一般会計で先んじて導入され、公益法人会計基準(平成20年4月)でも導入された会計手法 (金融商品会計、リース会計、退職給付会計、減損会計、税効果会計等)が社会福祉法人でも導入されたことです。
移行期間は「事務体制等が整い、実施が可能な法人においては、平成24年度(予算)から移行し、 平成25年度(予算)には全ての法人において移行する」となっています。 つまり実施可能法人では来年の2月位に作成される予算から、その他の法人においても再来年の2月位から、今回の新会計基準が適用されることになります。


2010年6月9日
分割協議と交換適用
会員権の譲渡損の否認等

1)分割協議と交換適用
1.事例
・相続人 配偶者と兄のA、B
・分割協議書 弁護士が作成済
 宅地の取得者
  居住用 配偶者
  貸宅地 兄、B
 被相続人は地代の不動産所得の申告はしていなかった。
・その宅地は、謄本と現況利用状況が著しく相異している。

2.検討事項と問題点
・宅地の評価について
・被相続人の修正申告について
・当初分割協議書についての再協議
・実測と他の所有者の交渉
・交換を想定した適用要件
・交換資産の時価(所基通58−12)

2)ゴルフ会員権の譲渡による所得
1.譲渡損否認事例
・一庫レイクサイド ―破綻― 事実認定か。
2.譲渡損と認定されるか
<事例>
・株式を所有、かつ、入会金を支払う会員権、現会員が新たに株式を取得して、
旧株式を譲渡した場合の5,000万円程の損出しは認定されるか。
尚、会員としての資格は現状とする。
旧、株式譲渡―総合課税可  (措令 25の8−A)
・株主会員―
新、株式取得―会員として継続(所基通33−6の3)


2010年6月9日
生前贈与で2千万円の贈与税課税

依頼者によると、被相続人であるご主人が、病気で他界され、その間の入院費用や生活費などで常にお金が必要であったことから、 ご主人名義の預金から4,500万円を引き出し、この方の名義の口座に入金し、そこから必要に応じて引き出して使っていたのです。
税務署はその4,500万円を贈与であると認定。しかし、ご主人は入院中殆んど意思表示できる状態ではなく妻が便宜上口座を移しただけです。
お二人の間には子は無く、ご主人は奥さんのために平成15年に財産をすべて妻に相続させるとの公正証書遺言まで残しておられたので、 わざわざ生前贈与をしなければならない必要性も考えられないことが判明しました。
弁護士と協議をして、4,500万円は贈与でなく、妻が一存で便宜上口座を移しただけで、残金はご主人の相続財産であり、 相続税として課税されるのであれば、1億6千万円まで配偶者の税額軽減の特例が受けられるので贈与税はもちろんのこと相続税もかからないのではないか、 との主張をした結果、税務署から「総合的な判断をして贈与か相続の両面で再検討する」との回答を得ました。
税務署は妻名義の預金等が相当額になるので、過去の財産の動向も掌握する必要があり、また、 4,500万円のうち支出した2,700万円の具体的な内容について当方に明らかにして欲しいとの注文もあって確定申告後に再度交渉することになりました。
その結果、妻名義の預金の大部分はご主人が出金したものとみなして、当初の贈与税2,000万円を撤回し、 最終的には相続税17万円の納付のみで決着することができました。


2010年4月15日
顧問先の借入元本返済猶予の申請

19年度決算では過去最高の売上高を計上した顧問先が一昨年のリーマンショック以降売上高が激減し、 22年度決算では売上高がその6割にまで落ち込み過去最高の赤字となりました。
資金繰りが極度に悪化し、すでに金融機関等からの借入金残高が年間売上高の半分近くを占める状態にまで陥り、 新規融資が困難な状況となりましたので、社長と相談のうえ各金融機関に対して1年間の元本返済猶予を申し出ることにしました。
8行ある借入先のうち借入金残高の多い3行について社長に同行して回りました。
事前に金融機関の担当者には社長より訪問の目的と日時を取り付けてもらっていましたので、中小企業金融円滑化法が施行されていたこともあり、 各行とも紳士的な態度で応対していただき交渉は難航することなくスムーズに行われました。 (やはり、中小企業金融円滑化法の存在が大きかったと思われます。)


2010年1月10日
社会福祉法人への不動産の寄附

今回のテーマは社会福祉法人へ土地と建物を寄附したときの課税関係です。

1)概要
まず寄附ということではありますが、所得税は譲渡所得の範疇で捉えます。
所得税法59条に個人が法人に土地や建物を寄附した場合には、寄附したときに時価で譲渡があったものとみなして、 資産の取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税を課税するとしています。
しかし措置法40条に公益法人に寄附した場合で一定の要件を満たすものとして、国税庁長官が認定したときは所得税を非課税にする規定があります。
今回この措置法40条の規定の適用うけるべく手続きを行っている事例でした。

措置法に規定する要件は大きく三つあります。
(1)その財産が社会福祉その他公益の増進に著しく寄与すること
(2)寄附した日から2年以内に法人の公益を目的とする事業の用に供されること
(3)寄附により寄附した人やまたその人と特別の関係ある人の相続税や贈与税を不当に減少させないこと

今回の事例では寄附された物件はヘルパーやケアマネージャーの事務所として使用することにしていること、また法人に評議員が組織されていることなど、 事前に税務署で説明したところ要件としてはクリアしているということでした。
紙面の都合で詳細は省きますが、要件はかなり細かい規定です。

2)寄付金控除
今回のような寄附をした場合、寄付金控除はその資産の取得費部分が特定寄付金の対象となります。


2010年1月10日
"相続"未分割申告事例と所得税申告

1) 未分割事例
(1)公正証書遺言で一切の財産を長男に相続させると記したが他の相続人から減殺請求がなされて調停中。未分割ではないが・・・
(2)調停中の事案で弁護士よりその遺産目録を提示され申告と方法を期限の1ケ月前に依頼された。
(3)遺言書なしで分割協議に幾度も立会ったが分割が整わなかった長年来の顧問先。

2) 申告書作成に当っての検討等
(1)広大地に該当か否かの判定
(2)私道の評価と固定資産税評価証明
(3)調停資料の遺産目録と相続税申告
(4)被相続人の申告書等閲覧申請
先妻の子供の相続人と争いのある後妻の子供の相続人より依頼されたが控等一切ないため所得税、贈与税等の閲覧申請書を提出するためには、 亡くなられた方に係る申告書等の閲覧等のために必要な書類に相続人全員の委任状とその押印と印鑑証明書が必要と言う。
しかしながら争い中の相手側相続人からの入手が不可能なこの場合その閲覧が出来ない。 税理士としての職務を全うするためにとの私の説明も届かず入手出来なかったが制度としてこれでよいのでしょうか。他に方法は?

3) 未分割財産の所得税申告
所得税の申告時までに分割が行われなかった場合その相続分に応じた所得課税が行われる。
その後分割が行われても修正申告や更正の請求は行いません。
又、分割確定迄の共有に属するその果実の金銭債権たる賃料債権は遺産とは別個の財産というべきであり、その後にされた分割の影響は受けない。(平成17.9.8最高裁判決)

4) 遺産分割について
立場上遺産分割について立会意見を求められることが多々あるが、財産評価等相続税を主に説明しその相続分等に基づいて分割し、 又、顧問先として関った相続人等を主に相手とすることが多いが最近の事例の反省として次の事等の充分な認識が不足していた。
(1)特別受益の意義と対象
3年以内の贈与、相続時精算課税等のみならずその遺産の前渡しを被相続人の意思を尊重しつつ法定相続分を修正する。
(2)寄与分と意義
被相続人の療養看護等含め種々様々な検討


2009年10月8日
法人税座談会 Mr.Xの独り言

今回は、法人課税部門のベテラン税務署員の方による、今の税務署の実情のお話でした。
税務署の調査偏重化、新人事評価制度によるノルマ主義の強化、内部競争激化による職場・組織崩壊への危惧、消費税の還付留保・実態調査の増加、 非常勤職員の官製ワーキングプア問題、民主党の政策への本音など、鋭い視点での様々な話があり、大変勉強になりました。
中でも、IT化についての話は色々考えさせられました。 最近の調査ではIT専門官が同行し、パソコンの中を調べ、ゴミ箱やメールなどをチェックしたり、電子資料をUSBメモリに吸い上げて署でゆっくりと検討したりするそうです。
もちろん、これらは同意を得た上で行っているとのことでしたが、パソコンには会社の全ての膨大な情報が丸ごと入っており、 ワンクリックごとの同意を得るのでなければ、果たしてどこまで同意を得たと言えるのか疑問です。 しかも、万が一の操作ミスによる故障に対する補償の有無、漏洩や滅失の危険性を常に伴う電子データの管理体制など、アナログ時代には考えられなかったような問題点がたくさんあります。
私達は、デジタル時代の簡便性や安易性に惑わされることなく、IT化がもたらす、納税者にとっての功罪を見極めていく必要があると実感しました。


2009年9月9日
中小企業等協同組合会計基準の改正

平成19年4月1日に「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律」(改正組合法という)が施行されました。 これにより、組合の運営方法が大きく変わりました。
改正組合法では、会社法の株式会社の運営に準じた諸制度が導入され、中小企業等協同組合の会計及び決算に関しても新たな諸規定が設けられました。 これまでの組合法では、会計処理等に関する諸規定を有していませんでしたが、改正組合法では、第41条(会計帳簿等の作成等)、 第40条(決算関係書類等の提出、備置き及び閲覧等)、第57条(会計の原則)により、中小企業等協同組合会計基準の法的拘束力の性格が 非常に強くなったと言えます。
なお、主な改正点は次の通りです。

(1) 役員(理事・監事)の任期の変更(第36条)
(2) 理事による利益相反取引の制限(第38条)
(3) 監事・組合員の権限拡大(第36条の3)
(4) 決算関係書類等の作成、手続の明確化(第40条)
(5) 会計帳簿の保存義務(第40条)


2009年6月4日
法人事業税及び地方法人特別税の中間申告について

平成20年10月1日から地方法人特別税等に関する暫定措置法が施行されています。9月末決算法人で予定納税が必要な法人から、地方法人特別税を計算して納付することになっています。
今のところ必要となるのは9月末決算法人の中間申告からです。中間申告でも、予定申告の場合と中間申告の場合では、計算方法が違っていますので注意してください。

1) 予定申告の場合
予定申告の場合は経過措置により納付額を計算します。
法人事業税については、前年の法人事業税の3.3月相当分を申告納付し、地方法人特別税については、前年の事業税の2.7月相当分を申告納付します。

2) 中間申告の場合
中間仮決算に基づいて申告する場合は、通常通り事業税と地方法人特別税の算定をします。事業税の税率がこれまでと異なりますので注意が必要です。
地方法人特別税については、課税標準が基準法人所得割額又は基準法人収入割額となります。
税率は、課税標準が基準法人所得割額の場合、外形標準課税の対象となる法人が148%、それ以外の法人が81%です。課税標準が基準収入割額の場合は一律81%です。


2009年5月13日
分割承継法人の1期目決算

1) 適格分割
今回の分割はA社の株式は分割会社(以後B社)が100%所有すること、分割する営業に従事する従業員の全員がA社に雇用されること等が 分割計画書に明らかにされており、税法上の適格分割として分割されました。
適格分割となると何がどうなるかといえば、一番は資産、負債を簿価でB社からで引き継ぐところでしょう。 分割時のA社の開始貸借対照表は簿価によるもので、純資産は資本金と資本準備金で構成されていました。

分割によりA社が設立されたのですが、B社はその後清算手続きにはいりました。
その清算手続きのなかで、B社保有のA社株式を甲社の役員が買い取る話となりました。

2) 引継ぎ債務
 実質的に甲社はA社を支配下においたのですが、分割により引き継いだ債務をA社の営業利益から返済することはかなり困難ことが判っていましたが、 結果として約5000万円の債務の免除がえられこととなりました。 しかし、このままでは所得が発生し、税金の支払資金が必要となることになりました。

  リースバックによる資産売却損の計上を目論んだりしましたが、最終的には、減価償却費についてどうかと検討したとき、 取得価額と取得日は引き継ぐのですが、耐用年数は中古資産の耐用年数を改めて設定できることがわかりました。
そこで耐用年数を多少短めに設定することにより、何とか利益はかなり圧縮できることになりました。


2009年4月9日
相続税の納税猶予の一部打ち切り

相続人Sは、平成13年10月2日6,544uの農地を相続し、約3億8千万円の納税猶予の適用を受けていた。 当該農地(491u)については500u以下であるが、隣のNさんの農地1200uと合わせて500u以上のため、一団のものとして生産緑地の認定を受けていた。
その隣のNさんがその農地を生産緑地の買取りの申し出を提出していた。 当然、Sさんの農地は491u単独となってしまったため生産緑地の指定を取り消しされてしまった。

ここで、生産緑地法を確認しなおしますと。
生産緑地法第3条
市街化区域内にある農地等で、次に掲げる条件に該当する一団のものの区域について都市計画に生産緑地地区を定めることができる。
1) 公害又は・・・(省略)・・・土地としててきしているものであること。
2) 500平方メートル以上の規模の区域であること。

買取りの申出等による納税猶予の一部打切り
納税猶予期限が到来する前に、買取りの申出等をした場合は、当該農地等に対応する部分の相続税を次に定める日の翌日から2月を経過する日をもって 納税の猶予に係る期限とする(措法70の6(8))
1) 当該農地が都市営農農地等である場合においては、当該都市営農農地等について生産緑地法第10条又は第15条第1項の規定による 買取りの申出があったとき。
⇒当該買取りの申出があった日

Sさんは、農業経営を継続しているにもかかわらず納税猶予を受けていた相続税を納めなければならないことになりました。
  本税  26,322,500円 利子税  6,517,600円
本税はまだしも、利子税までとはちょっと納得がいかないものがあります。
ところで、実務研究会当日に教えてもらったことですが、相続税の納税猶予は、農業相続人の死亡の日か20年後と解釈していたのですが、 生産緑地については死亡の日までとなっています。 都市営農農地を相続した場合、宅地転用等を考慮して、納税猶予の選択をしなければなりませんね。


2009年1月15日
通勤交通費の課税問題(税務調査より)
調査のなかで役員の定期券代が問題になり、定期券のコピーの提出を求められましたが、割引回数券を利用するほうが利便性が高いなどの理由から 購入していない旨を説明しました。
通勤定期代を役員報酬としたかったようでしたが、毎月実費精算をするようにという指導で決着しました。

サラリーマンの場合、回数券などを利用する人も多いと思います。法人役員の場合は実費精算しなければいけないというのが、どうも腑に落ちないのですが…。


2008年7月8日
海外取引の消費税課否判断
納得できない国税庁ホームページの解説

国税庁はホームページで質疑応答事例を掲載していますが、納得いかないのが消費税における"海外旅行の添乗員の派遣に係る内外判定"の解説です。
欄外に「一般的な回答であり、必ずしも事案の全部を表現したものではありません」とは注記していますが、 基本通達などに基づいて検討する限りホームページのような解説にはならないと思われるのですが…。


2008年6月6日
実務研に参加して

今日もいつものように3人の先生から、実務家の、実務家の為の、実務家による研修が始まった。
お一人目の先生は「この土地って借地権あるの?」「特定同族会社の留保金課税」だ。
トリッキーでは有るが、陥りがちな実務である。
次の先生は、税務調査事例だ。
これも調査の行為そのものも興味深いが、争った争点も興味深いものだ。
最後の先生は「内部統制」。
なんじゃこれは?税務実務に関係ないではないか。とはいえ、実務には違いない。

しかしながら、何時も思う事だが、聞いている講師の先生と、実務家の先生方とのやり取りで、初めて理解や議論が深まる。 やっぱり実務研は行かなきゃ意味が無い。


2008年4月6日
誤りやすい事例(国税通則法関係)

国税庁HPで「個人課税関係 平成19年度誤りやすい事例(国税通則法)」が公開されている。
全部で16ページ。
内容を見ると、私らが実務上、思わぬ勘違いをしそうなものも含まれている。
初歩的ミスをしないために、ご一読をお勧めする。

〔事例の一部〕
(誤)平成14年分の還付申告書を提出できる期間は、法定申告期限から起算して5年間であるから、 平成15年3月16日から平成20年3月16日までであるとした。
(正)還付申告書を提出できる期間は、申告書を提出できる日から起算して5年間である(通則74)。
(1)確定申告書の提出義務がある場合(所法120該当者):平成14年分の申告書を提出できる日は、平成15年2月16日であるから、平成20年2月16日までである。
(2)確定申告書の提出義務が無い場合(所法122該当者(所法121該当者から還付申告書が提出された場合を含む)): 平成14年分の申告書を提出できる日は平成15年1月1日であるから、還付申告書を提出できる期間は、平成19年12月31日までである。
※申告書を提出できる期間は午前零時から始まるので初日を算入する(応答日の前日に期間は満了する)。 なお、申告「期限」ではないので、満了日が土日祝日であってもその翌日とはならない(通法10)。


2007年11月6日
税務支援制度についての基礎知識

国税庁はこの4月「記帳指導」「確申期の電話相談」「無料相談」「年金受給者への説明会」の業務を一般競争入札により アウトソーシングする内容の旨を日本税理士会連合会(日税連)に対し行いました。
税理士以外のものが税理士業務を落札して税理士に請け負わせる可能性が生じたのです。

現在の税理士法は、第2条で「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を税理士業務と規定し、 第52条で税理士業務は税理士の独占業務(無償有償問わず)としています。
また、第49条の2で税理士会の会則には「委嘱者の経済的理由により無償又は著しく低い報酬で行う税理士業務に関する規定」(税務援助)を 絶対的記載事項であると定めています。
現在近畿税理士会(近税会)の会則で「税務支援」と呼ばれているものは、この「税務援助」と 税理士会が自主的に決めた「税務指導」の2つが混在しています。 近税会の規則では税務支援の業務範囲に「税務相談」「記帳、決算の相談」「税務書類作成相談」の3つを定めています。

今回の「アウトソーシング騒動」は、国税庁のみの考え方ではなく、「規制改革」の流れの中で生じてきました。 「国が発注する業務委託契約を、随意契約から一般競争入札にすべし」という流れです。
税理士制度は行政の下請制度ではないという基本的スタンスが改めて問われます。


2007年10月5日
個別評価金銭債権に係る貸倒引当金

1)概要
A社は、B社に4000万円超の貸付をしています。しかしB社は、債務超過の期間が相当期間継続し(10年以上)、A社への返済が滞っています。 現在一部の返済がありますが、全て利息にあてています。事業の好転の見通しがないため、貸倒引当金を4000万円計上します。

2)検討事項
貸倒引当金の計上の妥当性について。本件では、法人税施行令96条2の実質基準を採用しました。 しかしひっかかったのは、「その営む事業に好転の見通しがないこと」。この要件については、直近で損益プラスになった年があり、 大口の取引先をもっています。またこの貸付金は社長の人的保証付きで、社長の収入からすれば取立て等の見込みはないとはいえません。 以上からすれば、2の適用は難しいです。
では令96条1はどうか。この要件は会社更生法更生計画認可の決定など法的要件が必要です。 ただしこの場合公的な機関による認可の決定じゃなく、第3者機関のあっせんでも可能となります。このラインで計上を検討します。


2007年9月7日
資本剰余金の配当の注意点

1)資本剰余金からの配当
留保利益を源泉とする利益剰余金だけでなく、資本取引から生じた資本剰余金からも配当が出来るようになりました。 いずれの剰余金を原資とするかは、株主総会や取締役会などで自由に決めることが出来ます。
その他資本剰余金を原資として配当を行った会社は、会計上は、その配当の効力発生日において、その他資本剰余金を減額し、 税務上は、その払い戻し額のうち、比例按分計算によって資本金等の額を減少させ、その超過部分はみなし配当として利益積立金額を減額します。

2)株主資本の計数の変動の柔軟化
定時株主総会に限らず、臨時株主総会の決議により株主資本係数を変動することが出来るようになり、 剰余金から準備金への振替及び資本金から準備金への振替が出来るようになりました。 ただし、資本と利益を混同するような振替は認められません。
資本金または準備金の減少には、原則として債権者保護手続が必要となります。 株主資本の計数の変動パターンによって、必要な決議要件や債権者保護手続が違ってきますので、注意が必要です。

以上のほか、自己株式を取得した場合や自己株式を譲渡した場合の会計上の処理と税務上の処理についても発表が行われました。


2007年8月8日
生命保険満期金の所得の種類

新教育保険(契約者父が死亡し被保険者子は契約者及び受取人になり、保険料は以後免除)が満期日を迎え、 養育資金は毎年通知のみで受領せず、15年分800万円を一括受領した。 満期に一時に支払われた年金保険金は一時所得か 毎年受領していなくても年金保険金は雑所得か。
契約者(父)が死亡した場合、約款にもとづく権利の承継者である子供に対し新教育保険の価額が相続財産として課税対象となる(相基通3-36)。 果して相続財産でカウントされた年金保険金が所得税でも課税されるのか。
長崎地裁で勝訴した二重課税が控訴審でどうなるか参考にしたい。


2007年7月5日
所得税更正請求が認められた事例

大阪市で俳優を生業とするG氏は、平成16年度の確定申告までは、俳優として、事業所得による申告が認められていた。 しかしながら平成17年度確定申告後に、急に税務署に呼び出しを受け、給与所得者として申告を修正するように求められ、 結果的に修正申告に応じた。
納得のいかなかったG氏は、その後、平成18年度確定申告と同時に、下記の理由を添付し、更正の請求を行い、認められることとなった。
・ 収入が少ないことのみをもって、事業所得として認めないことの不合理性
・ 16年度まで認めていたものを、急に17年度に認めないということが、整合性に掛ける事


2007年6月6日
変貌する税務行政…総合調査を体験して

1)変貌する税務行政・税務調査
「変貌する税務調査」と題しておこなわれたシンポの報告によれば、国税当局は調査の事務量の確保を至上命題にし、
(1) 内部事務の一元化・アウトソーシング、相談事務の外部委託等により内部事務を圧縮し調査要員の確保 (2) 調査体制では税目管理から部門の枠を撤廃し、個人・法人を一括管理して総合的に調査を行う体制 (3) 調査方法についても、総合調査、広域調査、連携・連鎖調査、グループ調査、組調査等の「組織力を生かした機能的調査」 に移行しようとしているらしい。
国税当局は「調査事案の6割近くを占める是認あるいは少額更正」と「実調率の大幅低下」に問題意識を持ち、 上記の機能的調査や無予告調査・現況調査・反面調査の調査手法を用いて、問題解決に当たろうとしている。 そんな中でぶつかったのが、今回の総合調査である。

2)体験した総合調査
3)一段と必要になってきた納税者の権利意識
今回の総合調査であり、その内容等は省略させて頂く。
納税者の権利意識も一段と必要になってきた。


2007年5月8日
最近の社会保険法規の改正ポイント

1)健康保険の主な改正
標準報酬月額の上限と下限が追加になり、今まで39等級だったのが47等級となり、上限額も121万円となった。 賞与の上限は1回につき200万円が150万円となり、年度の累計の上限が540万円となった。
傷病手当金・出産手当金の支給額が標準報酬日額の6割だったのが、3分の2に変更となった。
また、高額療養費が現物給付化される。

2)年金の主な改正
70歳以上の人の老齢基礎年金の支給額が調整されることになった。
調整額は65歳以上70歳未満の人と同じ。
65歳以上の人の遺族厚生年金と、若年期(30歳未満)の遺族年金が見直される。
平成19年4月1日から、離婚時に厚生年金の分割制度が適用される。

3)雇用保険の主な改正
男女雇用機会均等法の改正、また、雇用保険率も4月1日から改正されて、下げられた。

以上、主な改正点のみ、報告しました。


2007年4月6日
ゲームソフト製作費用の配賦方法

1) ソフトウェア資産と捉える考え方
一、ゲームソフト
(1) ソフトよりもコンテンツの比重が高い特徴があるが、以下の区分処理も可能と考える。
ソフトウェア…製品マスター以降を原価として3年償却する。
コンテンツ…初回ロットで売上原価按分する。
(2) 区分しない場合
ソフトウェアとして3年償却する。

2)売上原価と捉える考え方
プログラムだけでなく、そのプログラムを動かすグラフィックデータ、サウンド、ストリー性がコンテンツと捉える。 ゲームソフト開発であり、主要素はコンテンツである。よって次の計算で原価を売上原価に按分する。
初回ロットの製造枚数に対する払出数量に応じ仕掛品原価を売上原価に算入する。

【参考】
・研究開発費とソフトウェアの会計処理に関する実務指針(11年3月)
7 コンテンツは、ソフトウェアとは別個のものとして取り扱い、本報告書におけるソフトウェアには含めない。 ただし、ソフトウェアとコンテンツが経済的・機能的に一体不可分と認められるような場合には、両者を一体として扱う事ができる。
・法人税通達 7-3-15の2、3
ソフトウェアの取得価格に関して記述有り。


2007年1月11日
税務調査体験談

内科医(開業3年で法人成り)の個人分調査(A署、特官)の体験談の抜粋です。

1) 医薬品の法人移行時の在庫について
・ たな卸原票が保存されていないことについてあたかも不正をしているかのように署員にしつこく追及され、担当者(ドクターの妹さん、薬剤師)が泣き出す。
 → コンピューターで在庫表を作成しており、原票保存の認識がなかっただけ。これで調査は中断。
・ 在庫表に数量、単価が表示されているのに金額欄が空白になっている品目があり、意図的な隠ぺいだとして重加算税対象をほのめかされる。
 → 担当者がチェックしてみると最終年分の新薬分(新たに在庫表に登録されたもの)だけに集計がかかっていなかった。(単なるエクセルの操作ミス)

2)収入について
・ スタッフの治療費の本人負担分を免除(経理は収入と厚生費の両建て)しているが、これは給与として源泉課税をするので カルテを調べて個人別に金額を明らかにせよと求められる。
 → 非課税<所得税基本通達36‐23>だからその必要はないと反論。
・ 患者の本人負担分を免除している等により窓口収入差額を経費(経理は収入と雑費の両建て)にしているが、厚労省では認められないので経費を否認する、 他院でも直させていると強硬に主張。
 → 生活習慣病患者の指導料など、自己負担が多額になり高齢低所得者からはもらえないし、診療拒否もできない。 現実に収入されないものを計上することはできないと反論。
<所得税法51条A><所得税法施行令141条>

3)経費について
・ 医者のゴルフ費用等の交際費は直接業務に関連することが明らかでない限り認められないと決めつける。
 → ゴルフはしない。領収書に接待先等を記載してある(それでも大量の付箋をつけていた)
・ スタッフの昼食代は源泉徴収が必要。タイムカードと照合して3年分各人毎に支出額を明らかにせよと、 元帳コピーにおびただしい数のマーカーを塗って当方に作業させようとする。
 → 午前中勤務のスタッフの残業に伴うものなので非課税<基通36‐24>だと主張しコピーを突き返す。

4)納税地について
・ 開業当初から事業所を納税地として申告、法人成りと同時に個人事業所は廃止されたにもかかわらず その年分の申告も従前のまま提出し、調査を受けているが、住所はA署の管轄外であることに途中で気づく。
 → 納税地の特例の適用の取りやめは「納税地の変更に関する届出書」を提出すれば足りる。 提出があった日後における納税地は、その住所地とする(所得税法16条D)という規定に基づき届出書を準備してA署に行く。<大阪国税局個別質疑事例>


2006年11月7日
役員退職金の損金算入をめぐる事案
−分掌変更による退職と分割支給−

今回の報告事例は、オーナー社長が分掌変更等により実質的に退職したケースです。
事例の支給決議のあった時点では、この元オーナーの報酬月額が180万円(代表者当時は360万円)、新社長が80万円、 実際に退職金の1回目の支給日で元オーナー90万円、社長100万円でした。 また決議では実際支給開始を2年後とし、以後4回分割払いで、支給日の属する事業年度で損金算入するというものでした。
調査では当初、調査官は本事案についての申告審理の段階で退職金そのものが認められないと判断し、調査となったと述べていました。 これは事実認定の問題でしたので、前社長の出社状況、経営資料の報告や相談・対外的行事への出席などの業務内容、 取締役会への出席や決済権はないことなどを資料を示しながら説明しました。 決議後2年たって、しかも分割払いしている点については、同社に支払能力がなかったことや現在でも分割払いの1回分でさえ その一部を借入金とせざるを得ないことなど、資金繰り状況の厳しさが理由である点を主張しました。
実地調査段階では結論が出ず、署の審理で検討ということなり、結論的には是認でした。


2006年10月6日
自己株式取得等の税務処理関係

 平成18年度の法人税法令の改正では、会社法の施行に対応して、自己株式を取得した場合には、資産に計上せず、 直接、資本金等の額及び利益積立金額を減少させることとされた。
このうち、利益積立金額の減少部分は、みなし配当の金額であり、その計算に際して、直前の一株当たり「資本金等の額」を算定する必要があるが、 資本金等の額の計算上、改正法人税法の施行日(18.4.1)現在に自己株式を有している場合には、 施行日の前日の資本積立金額から、自己株式の税務上の帳簿価額を控除する必要があるので注意を要する。
 つまり、自己株式を取得した場合、会社計算上は取得対価の額だけ自己株式が増加するが(BSの純資産の部に控除項目として表示)、 税務上は、取得時に株主に交付した金銭等の額の内、対応する資本金等の額分(取得資本金額)について、「資本金等の額」を減少し、 その金額を超える部分については、みなし配当として利益積立金額を減少することになる。
 次に、自己株式を消却した場合には、及び自己株式を譲渡した場合についての説明をした。 以上詳細は、税務通信のNo2929、2932、2934に詳しく掲載されているので、ご覧ください。


2006年9月5日
株式に係る相続対策等について

甲会社は印刷業を営んでいる同族会社で、ここ2〜3年の間に業績が急回復し、財務内容もよくなっている会社で、 社長(62歳)の後継者(息子)に自社株を移転させたい、あいにく息子(30歳)にはまとまった資金がありません。 どうすればよいでしょうか。

1)通常は株価を引き下げた上、利益留保が余り蓄積されない早い段階で後継者に株式を移転する
 社長A、Aの配偶者B、息子C
 甲会社(AとBが株式を所有)、乙(Aが100%株式を所有)
2)乙会社の株価は額面割れをしているので、いったんA(社長)からB(配偶者)、C(息子)に株式譲渡を行う
 ・乙会社の譲渡時における一株当たりの株価4,000円…原則的評価方式(小会社の株式の価額)
 ・乙株式の額面金額50,000円
 ・甲株式の額面金額500円
3)その後、乙会社は銀行借入による資金で甲会社の株式100%を個人株主であるA、Bからの譲渡を受ける
4)株式の譲渡益と株式の譲渡損の通算
 上記2)によりAは乙会社の株式譲渡により、譲渡損が発生し、一方3)により甲会社の株式譲渡により譲渡益が発生するので、 株式等の譲渡に係る譲渡所得間の通算を行った。(所措法37の10(1))
5)株式移転後の(株)乙の借入金の返済原資については、甲会社からの剰余金の配当により一部借入金の返済原資に充当
6)(株)甲における留保金課税と(株)乙における轄bからの受取配当等に係る法人税等の負担について比較検討を行う


2006年7月6日
「役員給与の損金不算入制度」徹底研究
(平成18年4月1日以後の開始年度から適用)

1)事前に確定している給与以外の役員給与の損金不算入(事業年度ごとに判定)〈34条1項〉
(1) 退職給与、ストックオプション、使用人兼務役員の使用人分給与は対象外
(2) 事前に確定している給与

2)過大役員給与、仮装隠ぺい経理による給与の損金不算入〈34条2、3項〉

3)特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入〈35条〉
(1) 特殊支配同族会社
(2) 基準所得金額が次の金額になる事業年度は適用なし
(3) 損金不算入額

4)どのような対策があるか
(1) 業務主宰役員グループの持ち株割合を90%未満にする
(2) 常務に従事する業務主宰役員関連者の役員比率を50%以下にする
(3) 報酬、経費の組み換え


2006年6月7日
(1) 消費税還付の裏技事例
(2) DES(債務の株式化)の活用を検討する!
(3) 新設分割と営業権(企業再生の手法)

『ある傍聴者の囁き』
(1) ひえー、こんなやり方があったんかぁ。しかし、ちょっとやり方間違ったら、えらい目にあうけど、知ってたら使わん手は無いなぁ。消費税って難しいなぁ。

(2) DESってよう聞いてたけど、デッドエクイティスワップ(Debt Equity Swap)の略やってんな。知らんかった。しかし、これってほんまに使えるんかいな。もっと詳細聞いとかなあかんなぁ。

(3) 分割?合併?企業再編税制ってよう聞くけど、なんや、難しいてよう分からんなぁ。パーチェス法?持分プーリング?チンプン、カンプン!? よう分からんけど、自分とこでもいずれ出てきそうな話しやなぁ。よう聞いとかな。
そういえば、難しい用語の勉強はさいたま全研の分科会で、大阪新人会が講義やるって言うてたなぁ。ちょっと埼玉まで行って見るか!
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